RASHIN(羅針) / 解説

ハ方式廃止で、保険代理店は何を記録すればよいか

更新日  | 株式会社パスファインダー

2028年3月1日から、乗合代理店が自店の方針で商品を絞って勧める「ハ方式」は使えなくなります。商品を絞って勧める時は、顧客の意向に沿って選ぶ方法(ロ方式)だけになります。

残す記録は次の5点です。①顧客の主な意向 ②顧客の属性 ③比較・選別の対象にした範囲 ④提示・推奨の基準や理由 ⑤説明した内容の概要。様式は問われず、網羅的で詳細な記録や署名・押印までは求められていません。

何が、いつ変わるのか

公布・公表2026年8月28日(改正内閣府令の公布と、パブリックコメント結果の公表)
施行・適用2028年3月1日(改正内閣府令の施行日、改正監督指針の適用日とも)
改正される条文保険業法施行規則 第227条の2 第3項 第4号。「ハ」(代理店独自の推奨方針による絞り込みと、その理由の説明)が削除されます
寄せられた意見133の個人・団体から計759件
今回変わらない義務権限明示義務(保険業法 第294条第3項)と意向把握義務(同 第294条の2)は改正の対象外で、いまも対応が必要です

出典はいずれも金融庁の公表資料です(出典の①②)。

記録が要る場面、要らない場面

金融庁の回答は、すべての契約に同じ重さの記録を求めてはいません。分かれ目は「募集人による比較説明や選別が入ったか」です。

比較・選別をして勧めた記録が要ります。上の5点を、あとから検証できる水準で残します。
指名買い募集人の選別・提案が実質的に伴わず、顧客の主体的な判断だけで選ばれた場合は、ロ方式の対応は直ちには求められません。ただし、募集人が恣意的に誘導していないかは個別に判断されます。
継続・更改「満期だから」という理由だけでは対象外になりません。同条件での継続案内そのものは否定されていませんが、他社の提案もできることを伝え、意向を確かめる工夫が要ります。
自賠責ロ方式の対応は不要とされています。ただし、前契約の会社を希望するかなどの確認は重要とされています。
「お任せします」と言われたその一言だけを理由に、代理店が任意に絞ることは不適切とされています。まず意向の形成を促し、それでも明確にならない時は、当初の意向・属性・加入目的・既契約・保険料水準などから合理的な基準で提示・推奨します。

出典: 別紙1「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」(出典の③)

推奨の理由にしてはいけないもの

次の理由で商品や保険会社を選ぶことは、認められないとされています。

逆に言えば、偏りがあること自体が直ちに問題なのではなく、理由が具体的に書けているかが問われます。書き方は「比較推奨の証跡は、どう残せばよいか」にまとめています。

求められていないこと

一方で、保険料の比較表やシステムの出力結果を見せただけでは、意向把握や比較推奨を行ったことにはならない、とも回答されています。

施行までに決めておくこと

  1. 自店の募集を「比較・選別あり/指名買い/継続・同条件/自賠責」に分け、どれに記録を残すかを決める
  2. 5点の記録をどこに残すか(紙・Excel・システム)を決める。様式は自由です
  3. 記録の保存期間を社内規則で定める(法定のものを除き、一律の期間は示されていません)
  4. 誰が、どの頻度で、何件を抜き出して確かめるかを決める

羅針ではこう残る

RASHIN(羅針)では、新規の募集を進める流れの中に「意向の確認」と「比較・推奨」の段階があり、入力した内容がそのまま案件の記録として残ります。記録した日時も一緒に残ります。比較する保険会社の最低社数は代理店ごとに設定でき、推奨の方針は案件ごとにその時点の内容で保存されるため、あとで方針を変えても過去の案件の根拠は書き換わりません。

料金を見る

出典

  1. 金融庁「令和7年保険業法改正に係る内閣府令及び『保険会社向けの総合的な監督指針』等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等の公表について」(2026年8月28日)
  2. 同 別紙2「保険業法施行規則及び金融サービス仲介業者等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(新旧対照表)」
  3. 同 別紙1「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」
  4. 同 別紙3「『保険会社向けの総合的な監督指針』の一部改正(新旧対照表)」

このページは、金融庁の公表資料を保険代理店の実務の視点で整理したものです。個別の募集が適切かどうかの判断は、原文と所属保険会社の指示に従ってください。